邦画『映画 ビリギャル』
■2014年年間ランキングの上位に輝くベストセラー映画化!
原作累計発行部数120万部突破のベストセラー「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」。公開45日で観客動員200万人を突破した話題の本作。慶應大学合格という夢に向かって突き進むさやかの姿は、やがて崩壊寸前だった家族の絆を取り戻していく。家族の愛と仲間の友情、明日から頑張る勇気とヒントをくれる、汗と涙と笑いのいっぱいつまった、とびきりの青春ストーリー。
ジャンル:ドラマ/青春
製作国:日本
製作年:2015年
初公開日:2015年5月1日
上映時間:117分
配給:東宝
出演: 有村架純, 伊藤淳史, 吉田羊, 田中哲司, 野村周平
監督: 土井裕泰
洋画『インサイド・ヘッド MovieNEX 』
■少女の頭の中にいる5つの感情たちの物語。
11歳の少女ライリーの頭の中には、ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリという5つの感情がいた。ある日、ライリーは父親の仕事の都合で田舎から都会へ引っ越すことに。感情たちは新しい環境に馴染もうとするライリーを応援するが……。
『モンスターズ・インク』『カールおじさんの空飛ぶ家』の監督が実体験を基に製作した本作。ワクワクできる冒険や、大人も笑えるユーモア満載です。
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ジャンル:ドラマ/ファンタジー/ファミリー
製作国:アメリカ
製作年:2015
初公開日:2015年7月18日
上映時間:94分
配給:ディズニー
声の出演: エイミー・ポーラー フィリス・スミス ルイス・ブラック ビル・ヘイダー
監督: ピート・ドクター
洋画『プリティ・リーグ 』
■スカッと痛快!女性だけのベースボール・ムービー
舞台は第2次大戦中のアメリカ。男たちはみんな戦場へと駆り出され、大リーグの選手も例外ではなかった。このままでは”アメリカの心”とも言うべきプロ野球が消滅してしまうと考えた大リーグ・オーナーのバービーは、女性だけの野球チームを作ろうと決意。カナダを含む全米各地のソフトボールリーグから凄腕のプレイヤーをスカウトして”全米女子プロ野球リーグ”を発足する。
映画はドティとキットという選手姉妹の葛藤を軸に、この女子プロ野球の短かった歴史を描く。選手はみんなミニ・スカート、しかもプライベートはコミッショナーによって厳格に管理されるという、今ならセクハラのような待遇の中で、好きな野球に打ち込む選手の姿は輝いている。そしてクライマックスである第1回のワールド・シリーズへと物語は進んでいくのである。
女流監督は『ビック』『レナードの朝』のペニー・マーシャール。彼女は女性選手たちの活躍と勝ち進むチームをはずむようなテンポで描写しているだけでなく、彼女たちの抱える試練や葛藤まできちんと描いて見せている。ラストで数十年ぶりに再会する、老いた選手たちをマドンナが歌う「マイ・プレイグラウンド」が優しく包み込む。その歌詞に涙。物語のツボを押さえた演出ぷりはさすが。主演はジーナ・デイビス,、マドンナ、ロリ・ペティ、トム・ハンクスなど、個性豊かなキャスティングも魅力的。観ると元気の出る映画です。
《監督》 ペニー・マーシャル
《製作》 ロバート・グリーンハット
洋画『こうのとり、たちずさんで』
■美を追求する映像作家が描く壮絶な旅の物語
タイトルが素敵だ。「立ち止まる」でもなく、「立ちすくむ」でもなく、「たちずさむ」。歌っているような不思議な響き。こうのとりが一羽、長い足を片方だけ上げて、飛び立とうか、どうしようか考えてる。
物語の主人公もそんな恰好をする。川に架かった小さな橋、中央には赤と白と青で色分けされた国境線。彼はその線の手前で立ち止まる。片足立ちして両手を拡げ、こうのとりの姿になって。一歩進めば、そこは異国。けれどもそれは死を意味する。国境の向こうには銃を構えた兵士がいる。国境ってなんだろう? と映画は問いかける。人間がつくった境界線、それはただの線なのに人の運命を、生死を支配する。
忘れられないシーンがある。川をはさんで少年と少女が結婚式を挙げる。神父が立ち会い、大勢の人に祝福されて、ふたりは結ばれる。が、かつて同じ村で育った若い夫婦が触れ合うことはこれから先もない。それでも彼らは形だけの式を挙げる。それが民族の証のように。『旅芸人の記録』『霧の中の風景』のテオ・アンゲロプロス監督作品。美しく冷たい映像は圧巻です。
【キャスト】
マルチェロ・マストロヤンニ ジャンヌ・モロー グレゴリー・カー ドラ・クリュシクウ イリアス・ロゴテティス
【スタッフ】
監督・脚本:テオ・アンゲロプロス
脚本:トニーノ・グエッラ ペトロス・マルカリス
撮影:ヨルゴス・アルヴァニティス アンドレアス・シナノス
美術:ミケス・カラピペリス
音楽:エレニ・カラインドルー
1991年 ギリシャ=フランス=イタリア=スイス作品
公開日:1992年9月公開
洋画『花嫁のパパ』
■父、母、娘。結婚式を待つそれぞれの心中は?
スポーツ靴メーカーの経営者ジョージは、可愛い娘がイタリア留学から帰ってきていきなり結婚宣言して気が動転。相手は非の打ち所のない資産家の好青年。妻は大喜び、周囲も大乗り気でジョージも露骨な反対で娘に嫌われたくないのでしぶしぶ了承。結婚する前になんとか娘に思い止まらせようというジョージの思惑とは裏腹に、結婚の準備は着々と進み、さらには費用も膨らむ一方で……。
物語は娘の結婚式を終えた父親の顔からはじまる。疲れきって放心した顔、泣きたいけど涙も出ない、そしてはじまる結婚までの狂騒曲。スティーブ・マーティン扮するお父さん。「かわいい娘をお前なんかにやるもんか!!」とあの手この手で邪魔をする彼の姿は、世界中の娘を持つ父親の気持ちでもあろう。それに比べると母親というのは至って無邪気なものらしい。ダイアン・キートン扮するお母さんも娘の結婚に協力的で自分のことのようにその日を持っている。とはいうもの娘を思う気持ちは父も母も変わりない。たぶん父親のほうが不器用で、寂しがり屋なのだ。スティーブン・パパは娘にとっては困ったちゃんだ。婚約者の前でバカなことをする。彼の両親にも呆れられる。当然。娘には嫌われる。でもそれもこれも愛情の裏返し。だから結局は自分が折れて、娘を心から祝福する。父親の屈折した愛情表現が好きだ。そんなお父さんってやっぱり素敵だと思う。
実はこの映画はリメイクで、オリジナルは1950年制作のMGM映画『花嫁の父』。こちらのほうのお父さんはスペンサー・トレーシー、娘役はエリザベス・テイラーでした。『花嫁のパパ』の監督は『プライベート・ベンジャミン』『赤ちゃんはトップ・レディがお好き』のチャールズ・シャイヤー(当時、彼も4歳の女の子の父)。父と二人でぜひ観てほしい映画だけど、観たあとはお互い沈黙しちゃうかもね。でもきっとお父さんのことがもっと好きになると思うよ。そして二人にとって忘れられない一本になるはず。
ジャンル:コメディ
製作国:アメリカ
製作年:1991年
初公開日:1992年8月8日
上映時間:105分
配給:WB
出演:スティーヴ・マーティン ダイアン・キートン キンバリー・ウィリアムズ キーラン・カルキン ジョージ・ニューバーン
監督:チャールズ・シャイア
洋画『ホッファ』
■ケネディ兄弟を震撼させた男の実録物語
『JFK』『マルコムX』に続き、現実にあった事件をもとに、現代アメリカ社会の深層に迫る秀作。カリスマ性をそなえた魅力で権力の座を手に入れ、70年代までケネディ兄弟にも比べられるほどの政治力を持ったジェームス・R・ホッファの失踪事件をテーマに描いていく。JFKが最も恐れた男=ホッファを、ジャック・ニコルソンが圧倒的存在感で演じ切るサスペンス大作。コメディアンとして強烈な個性で笑いをとったダニー・デビートが、監督として初のシリアス・ドラマに挑戦している。
製作・監督・出演: ダニー・デビート
製作: エドワード・R.プレスマン/カルデコット・チューブ
脚本: デヴィッド・マメット
撮影: スティーヴン・H.ブラム
音楽: デヴィッド・ニューマン
出演: ジャック・ニコルソン/ケヴィン・アンダーソン/アーマンド・アサンテ/フランク・ホェーリー
邦画『水の旅人侍 KIDS』
■一寸法師の武士と現代っ子との冒険ファンタジー
末谷真澄が自らの原作「雨の旅人」を脚本化。当時、最先端技術のハイビジョンを駆使したニュータイプのSFXファンタジー。時空を超え旅する身長17センチの一寸法師のような・墨江少名彦と気弱な現代っ子・悟との交流を通して、自然の大切さ、命の尊さを訴えたエンターティメント。日本のファンタージをテーマにした作品はアニメ以外はなかなか成功しないと言う印象があるのですが、この作品は数少ない成功した作品じゃないかと思います。水の精霊が登場するのですが、そこまで非現実感は不思議と感じず、少年との触れ合いの中で心の成長物語が描かれているのでストーリー性もしっかりしていました。期待以上の物でした。「小さい頃の宝物は、大きくなればそうでなくなる」と言う展開は見ていて納得しちゃいました。自分にも思い当たる事がありましたしね、大人って宝物を無くして子供から成長していくんですよね寂しいけど・・・。
小学2年生の悟少年が出会った一寸法師のような身長十七センチの小さな侍は、墨江少名彦(すみのえのすくなひこ)という水の精であった。少名彦は水の源からやって来たと言い、海を目指していると語る。悟は少名彦との生活で勇気や自然への優しさと武士の心を学ぶが、水質汚染で体を蝕まれた少名彦の体は日増しに弱まっていった。悟は少名彦の為に沢の清水を取ろうとし、遭難してしまう。悟の危機を知った少名彦は単身山へ向かったが、瀕死の状態になってしまう。悟は少名彦を助けるため水源に向かい、洞窟の奥深くで水源の水を浴びた少名彦は、新たに生まれ変わり海を目指して旅立っていった。
ジャンル:ファミリー/ファンタジー
製作国:日本
製作年:1993年
初公開日:1993年7月17日
上映時間:106分
配給:東宝
出演: 山崎努, 吉田亮, 原田知世, 伊藤歩, 風吹ジュン
監督: 大林宣彦
洋画『プレイタイム』
洋画『ぼくの伯父さんの休日』
■お洒落なセンスとユーモア溢れる脚本で、本国はもちろん日本でも絶大な人気を誇る作品。
嬉しいことに、昨日紹介した『ぼくの伯父さん』のユロ氏が活躍する作品は他にもあります。『ぼくの伯父さんの休日』は、バカンス客でにぎわう海岸のホテルを舞台に、またも悪気はないのに騒動を巻き起こすユロ氏のお話。ジャック・タチ監督が自作自演するおとぼけ風刺コメディ“ユロ氏”シリーズの記念すべき第1作。日本では第2作『ぼくの伯父さん』の方が先に公開されたため、このような邦題がつけられているが、本作のユロ氏は誰の伯父さんでもない、ただのおじさんである。セリフはほとんどなくパントマイム的演技に終始しながら、いかに自分が異分子であるかを際立たせていく姿が実に面白く、また日常スケッチを淡々と描きながら、そこはかとないおかしみを醸し出すひょうひょうとしたタチ演出のセンスの良さ。時が経てば経つほど新たなファンが増えていくという、今や伝説的名作です。
出演: ジャック・タチ, ナタリー・パスコー, ルイ・ペロー
監督: ジャック・タチ
洋画『ぼくの伯父さん』
■お洒落なセンスとユーモア溢れる脚本で、本国はもちろん日本でも絶大な人気を誇る作品
短めのコートに帽子、パイプを加え、いつもステッキがわりにコウモリ傘を持って歩くユロ伯父さん。人が良くってのん気だけれど、いつもちょっぴり間が悪くって、行く先々で騒動を起こしてしまう。ユロ伯父さんは変わり者の独り者。プラスティック工場社長でモダンな邸に住んでいる姉婿のアルペル氏夫人にとっては、厄介者。甥っ子のジェラールは、そんな伯父さんのことが大好きだ。何とか一人前の男にしようと画策するアルペル氏はユロ伯父さんに仕事や女性を紹介しようとするが・・・。
1958年度米アカデミー賞最優秀外国語映画賞、同年カンヌ国際映画祭特別賞受賞作。モダンでお洒落なフレンチコメディーの傑作。兄夫婦の家のハイテクぶりは目を見張るほど斬新。親しみやすいテーマ曲も思わず口ずさんでしまいそう。どこかとばけたユロ伯父さんの愉快なそのキャラクターの虜になってしまった方も多いのではありませんか?
■キャスト
ジャック・タチ ジャン・ピエール・ゾラ アラン・べクール
■スタッフ
監督・脚本・台詞:ジャック・タチ
撮影:ジャン・ブルグワン
音楽:フランク・バルセリーニ、アラン・ロマン
美術協力:ジャック・ラグランジュ
洋画『オセロ / シェイクスピア名作映画集』
■1948年、幻の名作といわれた
オーソン・ウェルズの「オセロ」が40年ぶりに復刻される
オセロはヴェニスのムーア人。妻の名はデズデモーナ。将軍であった彼は、数々の戦争で名を馳せ、市民の尊敬を集めていた。しかし猜疑心の強いオセロは、家臣のイアーゴーから妻が別の家臣と不義の関係にあるという密告を受けると、罠とも気付かずに完全に信じ込んでしまう。オセロは妻の貞操を疑い、嫉妬し、嘆き、そして最後には……。
オーソン・ウェルズは、その生涯で シェイクスピアを3度映画化している。『マクベス』『オセロ』『フォルスタッフ』である。意外に思うかもしれないが、8歳で『真夏の夜の夢』を朗読したというウェルズとシェークスピアの関わりは深く、晩年映画化を夢見て果たせなかった『リア王』まで、全生涯を通じ途切れることなく連綿と続いている。
今回紹介する『オセロ』は、ウェルズが役者としても脂ののりきった37歳の時の作品で、1954年カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞しながらも、なぜか短期間しか公開されず、日本にいたっては未公開のままプリントが行方不明になって幽閉されたままになっていた。理由は、異端児的存在であった彼の言動について当時からさまざまとりざたされていた…。今回、”パリのどこかのホテルの戸棚に置き忘れられた”といわれたネガがアメリカの現像所の倉庫から発見される、という経緯からして、いかにも『フェイク』の監督らしいが、ドルビー・ステレオによる再録音を加えて完全復元された。シェイクスピアの古典劇を息を飲む大胆な映像美とスピード感は決して40年前の作品とは思えない。
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製作年:1948年
出演: オーソン・ウェルズ、シュザンヌ・クルーティエ、ロバート・クート、マイケル・まクラマー
監督: オーソン・ウェルズ
邦画『私を抱いてそしてキスして』
■エイズを題材にした日本で最初の作品。
ロック・ハドソン、フレディ・マーキュリー、キース・へリング、アンソニー・バーキンス。彼らはすべてエイズで死んだ。プロ・バスケットボールの大スター、マジック・ジョンソンに代表される、俗にキャリアと呼ばれているまだ発病していない感染者も増え続ける一方で、決定的な治療法はまだ確立されていない90年代。エイズをテーマにした映画は『ムーンリット・ナイト』や『ロングタイム・コンパニオン』など海外では数多く製作されているが、日本ではこの作品が最初のようです。
物語は、旅行代理店に勤務する主人公・会田圭子は、前の恋人から血液検査で陽性だったという電話を受ける。検査に行った圭子は、すでに自分もエイズに感染していることを知りショックを受けるが、そんなときに出会った高野晶と、自分がエイズであることを告げられないまま肉体関係を結んでしまう。恋人が感染者であることを知った晶は彼女のもとを去り、残された圭子は自分が妊娠していることに気づく…。
原作は「極道の妻たち」「イエロー・キャブ」など話題のルポルタージュを連発していた家田荘子の大宅壮・ノンフィクション賞受賞のベストセラー「私を抱いてそしてキスして―エイズ患者と過した一年の壮絶記録」をベースに田部俊行と麻生かさねと高橋洋が共同で脚色し、「おろしや国酔夢譚」の佐藤純彌がメガホンをとった。南野陽子がHIVに感染したヒロインを演じ、日本映画として初めて厚生省の推薦を受けた。南野陽子は、この役作りのために大幅な減量に挑戦するなど熱演ぶりが当時話題になり、エイズ抜きでは語れない、これからの愛の形を見事に描きあげるに成功していた。
ジャンル:ドラマ
製作国:日本
製作年:1992年
初公開日:1992年11月14日
上映時間:108分
監督: 佐藤純弥
邦画『アンモナイトのささやきを聞いた 』
■”はかなさ”に彩られた、優しい幻想世界
映画には二つのタイプがある。ハリウッド産エンターテインメント大作に代表される明確なストーリー展開で見る者の興味をスリーリー自身に注がせるタイプと、逆に映像スタイルに観客を酔わせるタイプ。その両者が適度な割合で混合していれば言うことがないのだが、そういった映画はかなり少ない。
そしてこの映画は明らかに後者のタイプである。監督の山田勇男はこれが初の劇場用長編となるが、それまで発表してきた幻想的な短編作品によって、世界的に注目を集めてきた鬼才。その作品はPFF(ぴあフィルムフェスティバル)やイメージフォーラムで入賞していると言えば、その作品世界はイメージ出来るはず。彼の16ミリ作品は世界各国の映画祭で紹介されているだけでなく、美術館や大学にも収蔵され、アーティストとして高く評価されている。
そしてこの映画は宮沢賢治と妹トシの関係をモチーフにした物語。鉱物学者の助手を務める「兄」と、重い病気で入院している「妹」。ある日、妹から螺旋摸様の手紙が届いた。この手紙をきっかけとして、兄は様々な不思議な夢を見る。そしてその事は、アンモナイトや青い魚といった幻想的なオブジェを介しながら、彼は「妹」の懐かしい記憶へと連れ戻していくのだった……。
主役の兄に扮するのは、ロック・シンガーであり、エッセイスト、歯科医でもあるマルチタレント、サエキけんぞう。その他、日本を代表する版画家の一原有徳、「夢見るように眠りたい」「ドグラマグラ」などの美術を担当した木村威夫という個性豊かなキャスティングと、サイモン・ターナーによる音楽も魅力的。”憧れ”や”郷愁”など、普段忘れてしまっている感情を優しく思い出させてくれる映画です。
【スタッフ】
監督:山田勇男
脚本:山田勇男
製作:堀越謙三
プロデューサー:山崎陽一
撮影:麻生知宏
美術:佐々木英秋
音楽:サイモン・フィッシャー・ターナー
録音:本田孜
照明:麻生知宏
編集:浦岡敬一
助監督:井上瑞保
スチール:伊藤博人
【キャスト】
兄:サエキけんぞう
妹:石丸ひろ子
少年(兄):藤田哲也
少女(妹):押部麗奈少女
翅の子供 :押部麗央
老人:一原有徳
教授:木村威夫
母:橋本一子
作業員:花輪和一
ーー:鈴木翁二
ーー:森雅之
老人の声:宮内幸平
洋画『みんな元気』
■イタリア全土を旅するユーモラスでほろ苦いロード・ムービー
私は素直じゃないから、皆が泣く映画では、絶対ではないが泣かないほうなのに、ジョゼッぺ・トルナトーレ監督の『ニュー・シネマ・パラダイス』には自分でも驚くほど泣いた。泣いたんだけれど、泣きながら、どうもなにか違うような気がして仕方がなかった。この監督は、観客のどこをつけば涙腺がゆるむか知っている。そのことがシャクにさわりながら泣いたので、なんとなく気持ちがよくなかったのである。
トルナトーレ監督『ニュー・シネマ・パラダイス』の次の『みんな元気』も、さすがにツボを押さえていると思う。ただし、私は、これにはさすがに泣けなかった。
マルチェロ・マストロヤンニ扮する老人マッテオは、夏休みに戻ってこなかった5人の息子・娘たちを自分の方から訪ねることにするのだけれど、それぞれに家庭の問題を抱えた子どもたちは、父の訪問に戸惑う。
マッテオをわざわざ惨めな方向へと追いやる脚本と演出は疑問だし、絵として見てる分には面白いのだけど、やたらと象徴的な場面が多いのにも、ちょっと閉口した。老人が子どもを訪ねて旅をする映画『ハリーとトント』や、日本の『東京物語』などと見比べてみるのがいいかもしれない。
ジャンル:ドラマ
製作国:イタリア/フランス
製作年:1990年
初公開日:1990年12月15日
上映時間:127分
出演: マルチェロ・マストロヤンニ
監督: ジュゼッペ・トルナトーレ
洋画『ジェラシー』
■嫉妬に身焦がしつつも、お洒落な恋物語
人間の感情のなかでかなり厄介な”嫉妬”をテーマに、南仏のプロヴァンスを舞台に描いた恋の物語。新進の女流カメラマン・カミ―ユは、売り出し中の舞台装置家・ピエールと恋愛中。でも彼は名うてのプレイボーイ。仕事場には女性が出入りし、引き出しは女性の下着が……。献身的に尽くす彼女は不安でならない。問い詰めると「愛するのは君だけ」と。次第に嫉妬深くなるカミ―ユは留守番電話のチェックはもちろん、彼のズボンのポケットを調べ、シャツに付いた香水のにおいを嗅ぎ分け、挙句はスケッチブックに描かれたショートカットの女性に負けじと髪を短くカットしてしまう――。人気ポップ歌手のリオが、カンリーヌ・ドヌープを母に持つクリスチャン・ヴァディムを相手に滑稽なくらい不器用な恋を展開する。楽しくお洒落な女性向きの傑作。監督は一作目にして並々ならぬ才能を発揮したキャスリーン・フォンマーティ。
出演: リオ
監督: キャスリーン・フォーマーティ