「映画になった本」03…ヴァイブレータ
文字のみで描かれる小説は、自分の中でイメージが膨らんでいくもの。
それが映画になったときに、監督の視点でどう描かれるのかに注目して、見てみよう!
本と映画、どちらから体験しても、きっと新鮮な発見があるはず!
近年の話題作から誰もが知っている懐かしの名作まで、
原作と映画ともに魅力的な作品を、ブック&シネマラバーである、うろこ&Arikaが独自の目線で交互にセレクト!
今回は…
まずは原作本から…
ヴァイブレータ (講談社文庫) (2003/01) 赤坂 真理 商品詳細を見る |
『ヴァイブレータ』は、現代女性の苦悩と心の再生を描いた赤坂真理による1999年の小説。
STORY
あなたのことが書いてある。
ウァイブレータ――振動するもの。
あたしの中身は震えつづけている。
アルコールと食べ吐きで辛うじて自分を支えているライターの”あたし”は、コンビニで知り合った男のトラックに乗りこみ、航路の道連れとなる。孤独な男女が心と肌の温もりとセックス、重ね合う言葉。四日間の「旅」を描く、痛いほどに切実な、再生の物語。
実写映画化
↓
ヴァイブレータ スペシャル・エディション [DVD] (2004/06/25) 寺島しのぶ、大森南朋 他 商品詳細を見る |
2003年12月6日初公開。廣木隆一監督。
同名の小説が原作で、wikiによると原作者の赤坂真理さんは「男の人のちょっと荒い感じと大きな包容力と、その二つの矛盾する質を矛盾無く一つの体に共存させている男」と南朋さんを絶賛しています。
【役柄/キャスト】
早川玲 /寺島しのぶ
岡部希寿/大森南朋
警官/田口トモロヲ
ホテトルの客/戸田昌宏
プリマレクシアの女/高柳絵理子
雑誌の女/牧瀬里穂
DJ/坂上みき
【スタッフ】
監督: 廣木隆一
製作: 高橋紀成
プロデューサー: 森重晃、青島武
原作: 赤坂真理 『ヴァイブレータ』(講談社文庫刊)
脚本: 荒井晴彦
撮影: 鈴木一博
美術: 林千奈
音楽プロデューサー: 石川光
録音: 深田晃
助監督: 宮城仙雅
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生きることの残酷さが心に響きます。
そして映画を観た女子はみんな大森南朋さんに惚れると思う!
痛々しい心情描写が印象的な原作のフレーズを、映画ではモノローグや字幕として引用するシーンが多く、傷ついた主人公の心の震えが原作同様に強く訴えかけてきます。そして映画は大森南朋が演じる男の色気が原作以上にすごい!
原作で描かれている、言葉ではなく態度で示す動物的な男の優しさを見事に体現。映画『ヴァイブレータ』を見た女子はみんな大森南朋さんに惚れると思います。
コンビニで出会って、トラックに乗り込んで、肌を重ねるわけですが、南朋さん演じる岡部希寿の「きれいだ」にひっくりかえった私、割と免疫ないかも(苦笑)。
旅しながら何度も抱き合って、たくさん会話して、お互いのことがわかってくるのですが、食べ吐きとか“声”が聞こえるとか、コンプレックスを抱えている女子なら、すごく共感できると思う。
これは普通の男子なら引くかも?ですが…。
でも、こんなに感情をぶつけてみっともない姿をさらす女に対して、優しくしてくれる岡部の包容力が、もう。
「彼が優しいのは本能」というセリフがあるのですが、お風呂で後ろから抱いてくれる腕がよかったです。(「俺は優しいから」って口で言う男に限って、自分の手に負えなくなった女は簡単に見限るんだから。あ、他意はありません。。。)
特に、出会ったコンビニで別れるシーンの2人の表情がまた素晴らしくって、愛し合っても、お互いにそういう約束だとわかっている、こんな恋してみたいものです。
南朋さんのインタビューを引用すると、
「いろんなことを経験してきているから、こんな奴もいるんだという気持ちで受け入れているんじゃないでしょうか。急に救おうとか、そこまで考えている奴じゃないと思います。それが逆に救いになっている。そういう映画です。」