「映画になった本」07…ジョゼと虎と魚たち
文字のみで描かれる小説は、自分の中でイメージが膨らんでいくもの。
それが映画になったときに、監督の視点でどう描かれるのかに注目して、見てみよう!
本と映画、どちらから体験しても、きっと新鮮な発見があるはず!
近年の話題作から誰もが知っている懐かしの名作まで、
原作と映画ともに魅力的な作品を、ブック&シネマラバーである、うろこ&Arikaが独自の目線で交互にセレクト!
ジョゼと虎と魚たち (角川文庫) (1987/01) 田辺 聖子 商品詳細を見る |
『月刊カドカワ』1984年6月号に発表された田辺聖子の恋愛短編小説の中の一作。
足が悪いためにほとんど外出をしたことがないジョゼと、大学を出たばかりの共棲みの管理人・恒夫との純愛を描く、どこかエロティックなラブストーリー。
STORY
足が不自由で、車椅子がないと歩けない。そのため、ほとんど外出したことがなく人形のようになっているジョゼと、大学を出たばかりの共棲みの管理人・恒夫。
二人はひょんなことから出会い、お互い惹かれ合っていく。なお、ジョゼの名前の由来は彼女の愛読書フランソワーズ・サガンの登場人物の名前から。
実写映画化
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ジョゼと虎と魚たち(通常版) [DVD] (2004/08/06) 妻夫木聡、池脇千鶴 他 商品詳細を見る |
犬童一心監督が映画化。2003年12月13日にシネクイント他全国順次公開。PG12指定。
主演の妻夫木聡と池脇千鶴、江口のりこのベッドシーンが話題になる。
ロックバンドのくるりが音楽および主題歌を担当した。
第27回モントリオール世界映画祭、第39回シカゴ国際映画祭、第16回東京国際映画祭などに正式出品。
あらすじ
恒夫(妻夫木聡)は、雀荘でアルバイトをしている大学生。最近、卓上で話題になっているのは近所に出没する婆さんのこと。婆さんはいつも乳母車を押して歩いている。
恒夫はある日、偶然乳母車に乗っているその少女に会った。それが、ジョゼ(池脇千鶴)との出逢いだった。
【役名/キャスト】
恒夫(つねお)/妻夫木聡
ジョゼ(くみ子)/池脇千鶴
ジョゼ幼少時 /菅野莉央
香苗(かなえ)/上野樹里
幸治(こうじ)/新井浩文
ノリコ /江口のりこ
ジョゼの祖母 /新屋英子
隆司(りゅうじ) /藤沢大悟
麻雀屋マスター/陰山泰
少女フキ /森本更紗
麻雀屋客
中年女/真理アンヌ
中年男 /SABU
若い男 /大倉孝二、中村靖日、西田シャトナー
遠藤雅伸(ゲーム作家)
山本浩之(当時・関西テレビアナウンサー)
金井晴樹/藤原一裕
本屋店員/荒川良々
現場主任 /板尾創路
近所の中年男/森下能幸
先輩の社員/佐藤佐吉
【スタッフ】
監督:犬童一心
原作:田辺聖子
脚本:渡辺あや
助監督:五十嵐昭徳
プロデューサー:久保田修・小川真司
スチル:原田大三郎
イメージフォト:佐内正史
イメージイラスト:D[di:]
スタイリスト:伊賀大介
撮影:蔦井孝洋
美術:斎藤岩男
照明:疋田ヨシタケ
編集:上野聡一
音楽:くるり
♪主題歌:『ハイウェイ』 / くるり (SPEEDSTAR RECORDS)
配給:アスミック・エース
製作:「ジョゼと虎と魚たち」フィルムパートナーズ(アスミック・エース、IMJエンタテインメント(現:C&Iエンタテインメント)、エス・エス・エム、関西テレビ放送、博報堂)
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きれい事だけではない恋のリアリティが胸を打つ!
原作は30ページ弱の短編で、主人公であるジョゼの心情がメインに描かれています。若く危うい恋愛模様を描き、映画では妻夫木聡さんと池脇千鶴さんのラブシーンも話題を呼びました。映画では恒夫の心情描写も多く、偽善者的な一面があったり、より人物としての奥行きがありますね。原作と映画で大きく異なるのがラスト。映画のラストは原作のその先を描いているという見方もでき、切ない恋を乗り越えていくジョゼの強さが印象的です。