@ Cinema Port

こころにひびく映画紹介

邦画「みなさん、さようなら」

*一生団で地暮らすと決めた少年の行方

12歳の春、「団地から一歩も出ずに生きる」と周囲を仰天させる一大決心をした悟の約20年に渡る日々を描き出す。

繁華な団地には肉屋、魚屋、理髪店、衣料品店など何でもそろっている。外出は団地の敷地内だけで充分。初恋も、親友も、就職も、結婚も、何だって団地の中だけで出来る。優しい母親と友人たちに見守られ、悟はそうやって団地の中で日々を過ごし成長していく。だが時が経つにつれ、団地で暮らす友人たちは、ひとり、またひとりと悟の前から去っていき、あんなに賑やかだった団地も少しずつ寂れていってしまう。それでも悟は団地の外に出ようとはしなかった。そしてある日、そんな悟の日常と一大決心を揺るがす、とても大きな出来事が起きるのだった…。

なにより脱帽なのは悟の12歳から30歳までを特殊メイクなしで熱演する濱田岳。コメディタッチの前半から、悟が団地から出られない理由が明かされると雰囲気が一変、社会の病理を突いたドラマ展開。寂れていく団地の風景、一人取り残される主人公の心情を重ねた中村義洋監督の手腕も光る作品。

 

 

出演: 濱田 岳, 倉科カナ, 永山絢斗, 波瑠, 安藤玉恵

監督: 中村義洋