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@ Cinema Port

こころにひびく映画紹介

邦画『学校』

■日本社会と学校教育見つめ、現在の有様に疑問投じる

今では、高校、大学へ進まない者のほうが少数派になってしまってる。近年日本の教育政策 は非常にうまくいった、ただし数字の上でみる限りは。けれども、本当にうまくいっているのか? 偏差値教育、いじめ、登校拒否、落ちこぼれ・・・・。90年代の教育現場で普通に聞かれる言葉である。これが”普通”でいいのだろうか? 学校が本来の学校でなくなっているのではないか?と、疑問を投げかけた映画こそ『男はつらいよ』で、世の中から落ちこぼれてしまった男、フーテンの寅を四半世紀にも渡って描きつづけてきた山田洋次の『学校』です。

『学校』の舞台は、東京の下町にある夜間中学。主人公は、校長から何度も転任を要請されてもガンとして居座っているクロさんこと黒井先生。そして彼の生徒たち、元非行少女みどり、肉体労働者の和夫、中国からの引き揚げ者の息子・チャン、登校拒否の少女・えり子、卒業式を前に体をこわして入院してしまったイノさんたちだ。

どうだろう、人数こそ少ないが、誰もが日本社会から”落ちこぼれ”てしまった人ばかりではないか。けれども、彼らは落ちこぼれたくて落ちこぼれたのではない。働かざるをえなかった者、家庭の不和で苦しんでいる者、家庭のために自分を犠牲にして働いてきた者など、誰もが何か事情があってハンディを背負わされただけ、普通の人よりちょっと弱い立場に立たされただけなんだ、と山田洋次監督は語りかける。

ハンディのある人を弾き出してしまう当時の教育現場の、あるいは当時の日本社会の”歪”について、立ち止まって考えてみようという映画ではあるのだけど、その後「偏差値教育」の反省か「ゆとり教育」になったらなったでまた弊害が……。ちょうどいい教育って何だろうね?

 

 

学校 [レンタル落ち]
 

 

出演: 西田敏行、新屋英子、 裕木奈江竹下景子萩原聖人

監督: 山田洋次