洋画『赤い航路』
■愛の終着点へ向かう男と女。ポランスキーの問題作!!
イスタンブール行きの豪華船の中で二組の夫婦が出会う。一組は若い典型的なイギリス人。もう一組は年の離れたアメリカ人とフランス人の奇妙なカップル。作家と称する初老の男は車椅子の生活。彼に寄り添う妻は若く美しいセクシーで謎に満ちている。作家=オスカーはイギリス人青年ナイジェルに自分の話をはじめる。いつ、どうやって彼女と出会ったのか。どんなふうに愛し合ったのか。なぜ半身不随の身になったのか。彼の話は衝撃的でエロチックで背徳の匂いがした。何もかもあからさまに語るオスカーに嫌悪感を抱きながら、ナイジェルは毎晩のように彼の船室に通うようになる。そしてオスカーの妻ミミに惹かれていく。それは妻へのはじめての裏切りでもあった。
これは究極の愛の物語だ。愛することの限界を超えたオスカーとミミは次にお互いを傷つけはじめる。最初は肉体的に、そのあとは心理的に。その激しさは「愛」という言葉を完全に超えている。傷つけあい、憎しみあい、それでいて離れられない。それが二人の愛の形なのだ。
収容所で死と背中合わせに育ち、身重の妻シャロン・ティトを惨殺されたポランスキーの数奇な半生がこの屈折した物語に見え隠れする。
ジャンル:ドラマ/エロティック
製作国:フランス/イギリス
製作年:1992年
初公開日:1993年2月6日
出演: ピーター・コヨーテ, エマニュエル・セニエ, ヒュー・グラント, クリスティン・スコット・トーマス, ヴィクター・バナルジー
監督: ロマン・ポランスキー