@ Cinema Port

こころにひびく映画紹介

洋画『みんな元気』

■イタリア全土を旅するユーモラスでほろ苦いロード・ムービー

 

私は素直じゃないから、皆が泣く映画では、絶対ではないが泣かないほうなのに、ジョゼッぺ・トルナトーレ監督の『ニュー・シネマ・パラダイス』には自分でも驚くほど泣いた。泣いたんだけれど、泣きながら、どうもなにか違うような気がして仕方がなかった。この監督は、観客のどこをつけば涙腺がゆるむか知っている。そのことがシャクにさわりながら泣いたので、なんとなく気持ちがよくなかったのである。

トルナトーレ監督『ニュー・シネマ・パラダイス』の次の『みんな元気』も、さすがにツボを押さえていると思う。ただし、私は、これにはさすがに泣けなかった。

マルチェロ・マストロヤンニ扮する老人マッテオは、夏休みに戻ってこなかった5人の息子・娘たちを自分の方から訪ねることにするのだけれど、それぞれに家庭の問題を抱えた子どもたちは、父の訪問に戸惑う。

マッテオをわざわざ惨めな方向へと追いやる脚本と演出は疑問だし、絵として見てる分には面白いのだけど、やたらと象徴的な場面が多いのにも、ちょっと閉口した。老人が子どもを訪ねて旅をする映画『ハリーとトント』や、日本の『東京物語』などと見比べてみるのがいいかもしれない。

 

 

みんな元気 [VHS]

みんな元気 [VHS]

 

 

ジャンル:ドラマ

製作国:イタリア/フランス

製作年:1990年

 初公開日:1990年12月15日

上映時間:127分

 

出演: マルチェロ・マストロヤンニ

監督: ジュゼッペ・トルナトーレ