@ Cinema Port

こころにひびく映画紹介

邦画『トワイライト ささらさや 』

■優しい絆に胸が熱くなる、愛に満ちた感動物語

 

加納朋子のベストセラー小説『ささら さや』を新垣結衣大泉洋の共演で映画化した人情ファンタジー。愛する妻子が心配で成仏できずに幽霊となって彷徨う男が、他人の体に乗り移って妻子を助けようと奮闘する姿を心温まるタッチで綴る。監督は『60歳のラブレター』『神様のカルテ』の深川栄洋。売れない落語家のユウタロウは、愛する妻サヤと生まれたばかりの息子ユウスケを残して事故で他界。しかし、気弱なサヤが心配で成仏できない。そんなサヤの前に、絶縁状態だったユウタロウの父が現われ、孫を強引に引き取ろうとする。ユウタロウはたまらず師匠の体に乗り移り、サヤにユウスケと一緒に逃げろと伝える。その言葉に背中を押され、ちょっと不思議な田舎町ささらに辿り着いたサラだったが…。

 

映画として、表現したいことは良く映画かれていたと思う。妻は夫に見守られながら母親としての自覚を深め、自立して生きて行こうと決心する。一方、夫は今までの人生を振り返り、自分自身が生まれてきたことの意義を知る。親子の愛情、周囲の人々との温かい交わりなども良く描かれていた。大泉洋はコミカルな中にも哀感を表現できる珍しい俳優さんだし、新垣結衣も好演。石橋凌の演技も渋い。サヤを取り巻く三人のおばあさんたち富司純子、波野久里子、藤田弓子は存在感もあるし、演技も上手い。しかし、描写が十分ではなく、彼女たちを生かしきれていないと思う。師匠の小松正夫にしても同様で、もう少し時間があって、ストーリーに絡めば、もっと良かったかも知れない。しかし、全体として雰囲気は良く、心癒され家族で見ても問題なく楽しめる映画だと思う。

 

 

 

 

ジャンル:ドラマ/ファンタジー

製作国:日本

製作年:2014年

初公開日:2014年11月8日

上映時間:114分

配給:ワーナー

 出演: 新垣結衣, 大泉洋, 中村蒼, 福島リラ, 寺田心

監督: 深川栄洋