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こころにひびく映画紹介

邦画「愛のコリーダ 修復版」

🎥劇場公開日 2021年4月30日

世紀の問題作にして究極の純愛劇の修復版で甦る。

世間を震撼させた阿部定事件を題材にし、究極の愛とエロスを描き、世界を瞠目させた衝撃作。
愛のコリーダ』の衝撃力は、男と女の性愛への徹底した肯定がもたらしたものである――大島渚 

 

昭和11年。ある猟奇事件が世間の興味を集めた。愛人を殺害した上、男根を切り取って懐に入れ、数日間逃亡していた阿部定という女が捕まったのだ。物語は、阿部定が中野の料亭吉田屋に住み込み女中として雇われるところから始まる・・・・・・。料亭「吉田屋」の住み込み女中となった定は、店の主人の吉蔵とたちまち惹かれ合い、情事を重ねる仲となる。やがてその関係が露呈したこと2人は駆け落ちし、さらなる愛欲の世界におぼれていくが……。

 

愛欲の果てに情夫の男性器を切り取った阿部定事件をベースに、日本のヌーベルバーグの旗手と謳われた監督が大胆な性描写に挑戦。『夏の妹』以来、4年ぶりの大島渚の新作は、あまりにも有名な阿部定事件を題材にしたハードコア作品であった。フランス資本による映画とはいえ、著名な日本人監督が日本語のハードコアを作るのは前代未聞の出来事。製作のシステムも、日本で撮影したフィルムを未現像のままフランスに送って編集し、日本では逆輸入して上映するという、意表を衝くやり方で、性表現の限界に挑戦し、大島の勇気ある試みを世界中が固唾を呑んで注目した。完成した映画はカンヌ映画祭監督週間に出品され、すさまじい反響と絶賛の嵐を浴びる。大島渚が“世界のオーシマ”の名を決定的に刻み込んだ記念碑的傑作。

 

日本公開版は修整が加えられたが、劇中の「本番行為」は究極の芸術か猥褻か表現の自由をめぐって論争が巻き起こり、後に出版された同名シナリオ本をめぐっては裁判に発展するなど大きな注目を集めた問題作。海外では1976年のカンヌ映画祭で上映され、芸術作品として高い評価を受けた。2000年12月には初公開時にカットされたフッテージをほぼ完全に復元したバージョンが「愛のコリーダ2000」として公開された。そして2021年4月に「愛のコリーダ 修復版」としてリバイバル公開された。男盛りの藤竜也の色気、松田英子ファムファタルぷりに瞠目。監督が目指した<官能の帝国>を支える美術や濃密な映像美も圧巻です。

 

 

 

あらすじ

昭和11年、東京中野の料亭「吉田屋」を舞台に、吉田屋の主人吉蔵(藤竜也)と阿部定(松田暎子)の二人が出会い、定が吉蔵に一目惚れする。吉蔵も定に惹かれ、二人は吉田屋のそこここで密会を重ねる。やがて関係が露見すると二人は料亭を出奔し、待合に入り浸り酒や芸者を呼びつつ、昼夜を問わず体を求め合い貪るように愛欲生活を送った。二人の愛戯は次第に高まり、互いの首を締めて快感を高めることが日常化していた。ある日、定が首を強く絞め過ぎ、吉蔵は窒息寸前に至る。定の介抱も実らず、吉蔵は一旦、「吉田屋」に帰って養生すると定に伝える。しかし、定は吉蔵を自分一人のものにするため、吉蔵を殺す決意をする。

 

🎦公開情報

1976年製作/108分/R18+/日本・フランス合作
原題:L'Empire des sens
配給:アンプラグド
日本初公開:1976年10月16日

リバイバル
2000年12月2日 [ギャガ] 

 2021年4月30日 [アンプラグド] (修復版)

 

キャスト
吉蔵 - 藤竜也
定 - 松田暎子
「吉田屋」のおかみ トク(吉蔵の妻) - 中島葵
「吉田屋」の女中 松子 - 芹明香
「吉田屋」の女中 キヌ - 阿部マリ子
「吉田屋」の女中 千恵子 - 三星東美
「吉田屋」の女中頭 お常 - 藤ひろ子
老乞食 - 殿山泰司
芸者 八重次 - 白石奈緒
「みつわ」の女中 - 青木真知子
「みつわ」の芸者 - 東祐里子
「みつわ」の芸者 - 安田清美
「みつわ」の芸者 - 南黎
「みつわ」の芸者 - 堀小美吉
半玉 - 岡田京子
幇問 - 松廼家喜久平
「田川」のおかみ - 松井康子
大宮先生 - 九重京司
「満左喜」の女中 - 富山加津江
蛇の目の娘 - 福原ひとみ
小料理屋のおやじ - 野田真吉
芸者 菊竜 - 小林加奈
「満左喜」の芸者 - 小山明子

 

スタッフ
監督、脚本 - 大島渚
製作代表 - アナトール・ドーマン
製作 - 若松孝二
撮影 - 伊東英男
美術 - 戸田重昌
編集 - 浦岡敬一
音楽 - 三木稔
助監督 - 崔洋一
装飾 - 荒川大
録音 - 安田哲男
照明 - 岡本健一
衣裳 - 加藤昌廣
美粧 - 竹村幸二
結髪 - 大沢菊江
スチル - 小山田幸
合作調整 - フランス映画社

 

📰『愛のコリーダ』事件裁判
この作品の脚本と宣伝用写真等を掲載した同題名の書籍が発行されたが、その一部がわいせつ文書図画に当たるとして、わいせつ物頒布罪で監督と出版社社長が検挙起訴された。対する被告人側は「刑法175条は憲法違反である」と主張し憲法判断を求めた。一審二審とも従来の判例を基本的に維持しながらも、「当該書籍はわいせつ物に当たらない」として無罪とした。

 

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