@ Cinema Port

こころにひびく映画紹介

邦画「HOKUSAI」

🎥劇場公開日 2021年5月28日

2020年製作/129分/G/日本
配給:S・D・P

時は江戸。幕府によって表現者たちが自由を奪われていた時代に、画を描き続けた一人の絵師がいた。
“あの波"を生み出した葛飾北斎である。

本作は、歴史的資料を調べ、事実を繋ぎ合わせたオリジナル・ストーリー。

 

コロナ禍のいま、我々はかつてない苦境に立たされている。「どう生きるべきか?」「何が正解なのか?」「自分の役割は?」――不安定な状況下で、己の存在意義をこれまで以上に思案している方も多いだろう。そんなときこそ、導(しるべ)となってくれる映画を紹介したい。

 

f:id:zatugaka_arika:20121104030959g:plain葛飾北斎「時代のせいにするな、己の“好き”を貫け!」

いまこそ見習いたい江戸の“謎多き天才”のフィロソフィー

絵師・葛飾北斎の壮絶な生き様を描いた人間ドラマ。腕はいいが、売れない若き日の北斎(柳楽)。人気浮世絵版元(プロデューサー)の蔦屋重三郎(阿部)に目をかけられるが歌麿(玉木)や写楽浦上晟周)といったライバルに先を越されてしまう。もがきながらも絵を描き続けた彼は、唯一無二の独創性を手に入れる。命尽きるまで描き続けた絵師・葛飾北斎の人生を柳楽優弥田中泯のW主演で描いた時代劇。

本作は、あの名画群「富嶽三十六景」を生み出しながらも、そのパーソナリティが謎に包まれている北斎の半生にフォーカスを当てた、壮大な物語。辛酸をなめ続けた下積み時代や、理不尽な政府に弾圧される日々、それでも描き続けた北斎の気高い“魂”を力強く活写する。いまを生きる我々が、最も必要としている「信念」が、ここにある――。

 

炎九十年の人生で描いた作品、三万点以上。

信念を貫き通した孤高の絵師の生き様が、いま初めて描かれる!

作品は誰もが知っているが、作者の“素顔”は誰も知らない孤高の天才、それが葛飾北斎。「HOKUSAI」は、決して最初から天才ではなかった彼が、愚直に「好き」と向き合い続けたことで、“伝説”へと成っていく姿をエネルギッシュに描いている。他の絵師と比べてどれだけ格下だろうと、時代の逆風にさらされようと、己の感覚に正直に「好きなことで、生きていく」を貫いた北斎。時代を超越するクリエイターの矜持に、いまを生きる勇気をもらえるはずだ。本項目では、彼からキャッチできる“学び”を、5つのポイントで紹介していく。

 

上差し”学び”その❶

時代のせいにするな! ただ「好き」を愚直に極めるべしラブラブ

本作で描かれるのは、青年期(柳楽優弥)と晩年(田中泯)という2つの時代の北斎。どちらにも共通するのは、ひたすらに絵を描き続けたということ。生まれた時代や才能の有無、年齢に関係なく、ただただ「好きこそものの上手なれ」を突き詰めた結果、“本物”になったのだ。心を濁さず、取り組み続けること。この“真理”は、いまの時代こそ切実に響く。

 

チョキ”学び”その❷

才能は二の次、“継続”こそが最大の武器となるあしあと

喜多川歌麿玉木宏)や東洲斎写楽浦上晟周)といった同時代のライバルたちと比べて、自分自身のモチーフを見つけられず、後れを取っていた若き北斎。何度も挫折し、身を焼かれるような屈辱を味わいつつも、彼は筆を置かなかった。北斎の「継続力」こそ、彼を頂点に押し上げた原動力なのだ。努力を努力と思わない、圧倒的な「飢え」を持てるかどうかで、その後の人生が決まる。インスタントな結果ばかりを重視しがちな現代、本質に立ち返るきっかけをくれる。

 

OK”学び”その❸

ブレイクに年齢は関係なし! 探求心は年を取らないキラキラ

北斎のターニングポイントとなったのは、70歳を超えて描いた「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」。当時、平均寿命が40歳と言われていた事を踏まえると、このブレイクがいかに異例だったかがわかるだろう。ただそれも、とにかく自らの画力を磨き続けたが故。まさに「継続は力なり」だ。90歳で亡くなる間際に「あと5年あれば真の絵描きになれた」と発言するなど、彼の“向上心”は全く衰えることがなかった。それは、68歳の時には「描き続けたいから」と脳卒中を自力で治すほど!

 

グッ”学び”その❹

権力に屈すな! 自分の居場所は自分で勝ち取る​​​​​​​グー

いまより遥かに、権力の芸術への介入が強かった時代。「風紀を守る」という大義名分のために表現を規制しようとする江戸幕府に目をつけられながらも、描くことをやめなかった北斎。現在の「表現の自由」は、彼らのような先人たちの“粘り”の結果なのだ、ということを改めて考えさせる。自分の居場所は自分で守る、というストイックな姿勢と覚悟は、政治に翻弄されるいまの私たちにとって、最高の気付け薬といえるのではないだろうか。

パー”学び”その❺

限界を決めたら終わり! 真の作品は、国境も時代も越える足

北斎の姿を見ていると、「限界を決めるのは自分」なのだとハッとさせられる。諦めずに続けなければ、才能は花開かないし、誰かに見つけられることもない。ただ、ひとたび世に出た作品は、時代や国境を超えてどこまでも届いてゆく。北斎はLIFE誌の「この1000年で最も偉大な功績を残した100人」に選出され、その代表作のあの波は大量生産の浮世絵版画にもかかわらず、オークションでは1枚1.7億円の値がつくほど。自分の上限を決めずに研鑽を続けたことが、規格外の未来を創り上げたのだ。インターネットが普及した現代は、より拡散が容易で、多くの可能性が眠っている時代。「好き」を続ければ、あなたが「次の北斎」になれるもしれない!

 

 

波北斎こそが、日本のサブカルの源流を作った。日本の若者全員に見て欲しい

日本史の観点からみても、世界の美術史からみても、有数のパイオニアである北斎。彼の知られざる姿を描き切った本作。葛飾北斎は、間違いなく世界一有名な日本人画家ですが、貴族がクライアントだった西洋の画家とは違い、庶民に愛された実用芸術家である点が面白いですね。

 

この映画では、私たちがこれまで学んでこなかった「いかにして北斎が誕生し、どうやってその偉大な作品群を創作してきたのか」を目撃することになります。北斎の青年時代については資料が乏しく、この映画では現存する資料や史実、作品が生まれた年代などを繋ぎ合わせ作り上げた部分がありますが、20歳で画家デビューし、90歳まで筆を握り続けた北斎の生涯の70年分を描き切っていて大変貴重です。

 

ポスターパネル(アート&アニメ) ミニ屏風 四曲 H120xW270 【 神奈川沖浪裏 葛飾北斎 】

有名な神奈川沖浪裏(「The Great Wave」と呼ばれ、海外でも非常に人気の高い一枚)は、北斎脳卒中を自ら克服し、70歳を過ぎてから描いたものだということを、この映画で初めて知りました。そして、今の漫画の源になった、北斎漫画の制作過程についても。まさにこの人が、日本のサブカルの源流を作ったと言えます。日本の若者全員に見て欲しい。北斎がいなかったら、少年ジャンプが存在していなかったかも知れないわけで。北斎は実に健脚で、自らの足で遠くまで旅をし、数々の傑作をモノにしていたということもこの映画で知りました。絵の対象、被写体を捉える眼差しとセンスがとんでもなく鋭い。今の時代、北斎SNSアカウント作ったら、インスタグラムでフォロワー1000万人とか軽く超えますよね。世界中からフォローされますからね。

 

俳優も豪華ですが、やはり後半の北斎を演じた田中泯さんの熱量がもの凄いです。鬼気迫るなんてもんじゃない。北斎が憑依していると言っていいんじゃないでしょうか。ステイホームの状況が続く中での劇場公開、この映画を見ると、とても刺激を受けます。私も絵の一枚でも描いてみようかなって気になる。北斎ならば、コロナなんて関係ないよって黙々と作品を描き続けたに違いありません。

 

1⃣葛飾北斎の挫折と栄光を、歴史的資料を徹底的に調べ、残された事実を繋ぎ合わせて生まれたオリジナル・ストーリー!
2⃣北斎の青年期を柳楽優弥、老年期を田中泯が演じ、W主演でそれぞれの北斎を体現する。
3⃣阿部寛はじめ、永山瑛太玉木宏など、北斎の怒涛の人生に共鳴した豪華キャスト陣が集結した!

 

【ストーリー】
腕はいいが、食うことすらままならない生活を送っていた北斎に、ある日、人気浮世絵版元(プロデューサー)蔦屋重三郎が目を付ける。しかし絵を描くことの本質を捉えられていない北斎はなかなか重三郎から認められない。さらには歌麿写楽などライバル達にも完璧に打ちのめされ、先を越されてしまう。“俺はなぜ絵を描いているんだ?何を描きたいんだ?"もがき苦しみ、生死の境まで行き着き、大自然の中で気づいた本当の自分らしさ。北斎は重三郎の後押しによって、遂に唯一無二の独創性を手にするのであった。
ある日、北斎は戯作者・柳亭種彦に運命的な出会いを果たす。武士でありながらご禁制の戯作を生み出し続ける種彦に共鳴し、二人は良きパートナーとなっていく。70歳を迎えたある日、北斎脳卒中で倒れ、命は助かったものの肝心の右手に痺れが残る。それでも、北斎は立ち止まらず、旅に出て冨嶽三十六景を描き上げるのだった。
そんな北斎の元に、種彦が幕府に処分されたという訃報が入る。信念を貫き散った友のため、怒りに打ち震える北斎だったが、「こんな日だから、絵を描く」と筆をとり、その後も生涯、ひたすら絵を描き続ける。描き続けた人生の先に、北斎が見つけた本当に大切なものとは……?

 

🎬スタッフ
監督:橋本一
企画・脚本:河原れん
エグゼクティブプロデューサー:細野義朗
プロデューサー:中山賢一
共同プロデューサー:吉原大佑
キャスティング:川村恵
アソシエイトプロデューサー:勅使川原千春 大西結衣
ポストプロダクションプロデューサー:篠田学
ラインプロデューサー:武石宏登
撮影監督:ニホンマツアキヒコ
撮影:角田真一
照明:佐藤宗史
キーグリップ:ヒロカクハリ
録音:久連石由文
美術:相馬直樹
装飾:鈴村高正
衣装:宮本まさ江
メイク:宮内三千代
かつら:濱中尋吉 高嵜光代
編集:掛須秀一
音響効果:柴崎憲治
音楽:安川午朗
VFXスーパーバイザー:進威志
スクリプター:松澤一美
助監督:西山太郎
制作担当:田中智明
北斎スーパーバイザー:久保田一洋
浮世絵指導:向井大祐 松原亜実
音楽プロデューサー:安井輝

 

👥キャスト

葛飾北斎(青年期)|演‐柳楽優弥
葛飾北斎(老年期)|演‐田中泯
蔦屋重三郎|演‐阿部寛
柳亭種彦|演‐永山瑛太
喜多川歌麿|演‐玉木宏
コト|演‐瀧本美織
永井五右衛門|演‐津田寛治
高井鴻山|演‐青木崇高
瑣吉/滝沢馬琴|演‐辻本祐樹
東洲斎写楽|演‐浦上晟周
麻雪|演‐城桧吏芋生悠
お栄|演‐河原れん
葛飾北斎(少年期)|演‐城桧吏

 

|解|説|

富嶽三十六景」など生涯を通して3万点以上の作品を描き残したといわれる江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の知られざる生涯を、柳楽優弥田中泯の主演で映画化。町人文化が華やぐ江戸の町の片隅で、食うこともままならない生活を送っていた貧乏絵師の勝川春朗。後の葛飾北斎となるこの男の才能を見いだしたのが、喜多川歌麿東洲斎写楽を世に出した希代の版元・蔦屋重三郎だった。重三郎の後押しにより、その才能を開花させた北斎は、彼独自の革新的な絵を次々と生み出し、一躍、当代随一の人気絵師となる。その奇想天外な世界観は江戸中を席巻し、町人文化を押し上げることとなるが、次第に幕府の反感を招くこととなってしまう。青年期の北斎を柳楽、老年期の北斎を田中が演じ、重三郎役を阿部寛、人気戯作者・柳亭種彦役を永山瑛太歌麿役を玉木宏をそれぞれ演じる。監督は「探偵はBARにいる」シリーズ、「相棒」シリーズの橋本一

 


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公式サイト

www.hokusai2020.com