洋画『アトランティス』
■リュック・ベッソン監督が、
海への深い愛情を謳い上げたネイチャードキュメンタリー!
『グラン・ブルー』(『グレート・ブルー』完全版)の大ヒットにむせぶリュック・ベッソン監督が、38ヵ月の月日をかけて撮影した壮大なる海の映画『アトランティス』は海への深い愛情を謳い上げたネイチャードキュメンタリー。海と海に生きるものたちに魅せられた彼ならではの素晴らしい物語、これはもうひとつの『グラン・ブルー』といってもいいかもしれない。水中撮影監督に『グラン・ブルー』のクリスチャン・ペトロン、その他3人をダイバーたちもみな『グラン・ブルー』のメンバーだった。音楽はもちろんエリック・セラ。潜水海域は世界10ヵ所。ジャックの分身ともいえるイルカではじまり、ガラパコス・イグアナの潜水、オットセイのダンス、空を飛ぶように優雅に泳ぐイトマキエイ、のんびり屋のジュゴン、飛行船みたいに大きいジンベイザメetc。“愛”“嫌悪”“優しさ”などのエピソードに分けられ、魚たちの動きや海の表情を美しい映像で描き出していく海と一体化する至福の1時間18分。翻訳を松任谷由実が担当。
アトランティス -デジタル・レストア・バージョン- Blu-ray
- 出版社/メーカー: 角川映画
- 発売日: 2010/09/24
- メディア: Blu-ray
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<スタッフ>
監督: リュック・ベッソン
音楽: エリック・セラ
製作総指揮: クロード・ベッソン
<歌>
マリア・カラス「夢遊病の女」、ヴァネッサ・パラディ
洋画『エイリアン³』
■映画の言葉 “運命は分からない 不確定だ"
デイビッド・フィンチャーの映像センスが冴える第3作! 宇宙一の肝っ玉姐さんリプリーは今回は流刑地の惑星へ。ハイパー・スリーパー(睡眠カプセル)で漂っていると不時着してしまったというのだから、この人よくよくついてない。その惑星は宇宙細菌が蔓延する恐ろしい星だというわけで、今回もまたまたエイリアンvsリプリーのバトルロイヤルが繰り広げられる。スキン・ヘッドのリピリーことシガニ―・ウィ―バーのスチールはもう見たと思うけど、あれは宇宙細菌から身を守るためだとか。本作は『エイリアン3』ではなく『エイリアン³』というところに注目! つまりエイリアンの三乗なのだ。さてどんなエイリアンがぞろぞろ出てくるのか。ちなみにシガニ―の出演料は500万ドル(1作目は3万ドル)という噂。
見どころ:★★★★★
<キャスト&スタッフ>
ディロン…チャールズ・S・ダットン(手塚秀彰)
ビショップ…ランス・ヘンリクセン(古川登志夫)
監督:デイビッド・フィンチャー
製作:ゴードン・キャロル/デイビッド・ガイラー/ウォルター・ヒル
脚本:デイビッド・ガイラー/ウォルター・ヒル/ラリー・ファーガソン
●字幕翻訳:岡枝慎二 ●吹替翻訳:石原千麻/宮川桜子
洋画『恋のためらい』
■これぞ大人のラブストーリー!
互いに過去に傷を持つ二人の男女の恋を描いた大人のラブ・ロマンス。
こういうのを大人の恋っていうんだろうな…。もう決して若くない男と女がN・Yの大衆レストランで出会う。刑務所帰りのその男は新入りのコック、女は過去に傷を持つウエイトレス。男は女に惹かれるが、彼女は心を固く閉ざしたまま。それでも彼はゆっくりと彼女の心を解いていく。やさしく、少年のように一途に、また、ときには臆病なくらい遠巻きに。
男にはアル・パチーノ、女はミシェル・ファイファー。二大スターの共演もすごいが、なんといっても演出が粋。二人の台詞の間、表情、そして愛すべき脇役たち。監督はゲイリー・マーシャル。さり気ない話をここまでもっていく彼の力量はやっぱただもんじゃない。恋人たちを愛おしむような彼のまなざしがスクリーンから伝わってくるようだ。特に忘れられないのはラジオからドビュッシーの「月の光」が流れてくるシーン。あのシーンだけでも繰り返し見たいと思う。できることなら大好きな人と一緒に観たい一篇。あなたもラブストーリーならではの至福の時間をとくとお楽しむあれ。
ジャンル:ロマンス
製作国:アメリカ
製作年:1991年
初公開日:1992年1月25日
上映時間:118分
出演:アル・パチーノ 、ミシェル・ファイファー 、ヘクター・エリゾンド 、ネイサン・レイン、 ケイト・ネリガン
監督:ゲイリー・マーシャル
洋画『裸のランチ』
■W・バロウズ最高の問題作が映画に。
デイヴィッド・クローネンバーグの映画には裏と表がある。表は『ザ・フライ』や『デッド・ゾーン』みたいな、わかりやすくエンターテインメントしている作品。裏は『ビデオドリーム』や『戦慄の絆』みたいな超マニアックな作品。はっきりいって、裏クローネンバーグ映画のほうが危なくておもしろい。『裸のランチ』は完全な裏クロ映画だ。全編に危険な匂いがプンプンする。原作はウィリアム・S・バロウズの同名小説。でもバロウズの原作というよりバロウズそのものを主人公にしたローネンバーグのオリジナルといったほうがいいだろう。ゴキブリ駆除の仕事をしながら、ゴキブリ駆除剤でトリップし、挙句の果てに薬に酔って奥さんを銃殺、”インターゾーン”という謎の街へ迷い込む男ウイリアム・リー。これは一度はまったら出られない巨大な迷路のような映画なのです。
主人公のウイリアムを演じるのはピーター・ウェラー。皮膚の薄い神経質なキャラクターがぴったりくる。彼もバロウズの原作にほれ込んでの出演とか。
私の見どころ度★★★★
【STAFF】
■監督・脚本:デイヴィッド・クローネンバーグ
■原作:ウィリアム・S・バロウズ
■製作:ジェレミー・トーマス
■音楽:ハワード・ショア、オーネット・コールマン
■SFXスーパーバイザー:ジェイムズ・アイザック
■撮影:ピーター・サシツキー
【CAST】
■ウィリアム・リー…ピーター・ウェラー(声:堀 勝之祐)
■ジョーン・リー/ジョーン・フロスト…ジュディ・デイヴィス (声:一条みゆ希)
■イヴ・クローケ…ジュリアン・サンズ (声:仲木隆司)
洋画『氷の微笑』
■最後まで犯人がわからない!?
1992年に洋画興行成績3位を記録した話題作。すさまじいまでのバイオレンス描写とセックス描写で一大センセーションを巻き起こした。原作は『ベイシック・インスティンクス(基本的本能)』。基本的本能のおもむくままに凶行を重ねる殺人犯(凶器はアイスピック)と、事件を追う刑事。容疑者のひとりは美しくセクシーな小説家。事件はかつて彼女が書いた小説と同じように進んでいく。やがて彼はこの危険な美女に魅せられ、深い関係に堕ちるが…。主演はマイケル・ダグラスとシャロン・ストーン、そしてこれがデビューのジーン・トリプルホーン。強い女大好き!バイオレンス大好き!のバーホーベンならではの危ない映像が全編を支配する。脚本は『白と黒のナイフ』、『ミュージック・ボックス』のジョ―・エスターハウス。彼には映画史上最高の300万ドル(!)の脚本料が支払われたという、巨額を投じた対策でもある。見どころは、ヒロインのシャロン・ストーンのイノセントな悪女ぶりに注意! これぞ”氷の微笑”ともかく怖いっ。かなりセクシーなシーンが多いので覚悟して見るべし!
ジャンル:サスペンス/ミステリー
製作国:アメリカ
製作年:1992年
初公開日:1992年6月6日
上映時間:128分
出演: マイケル・ダグラス、シャロン・ストーン、ジョージ・ズンザ、ジーン・トリプルホーン、 レイラニ・サレル
監督: ポール・ヴァーホーヴェン
邦画『望郷』
■日本人共有の体験浮き彫り
軍靴の響き高鳴る昭和15年夏、鹿児島県肝属郡。代々続いた窪田商店は父・窪田国光の放蕩三昧な生活によって倒産する。国光は出奔し、盲目の妻けさは生家に戻され、残された少年・操と姉の恵子、幼い妹富恵は国光の腹違いの兄・信吾の家に、乳飲子の健次は遠い親戚に引き取られた。太平洋戦争が勃発し、信吾は戦場に赴き、操と恵子は身重な兄嫁・好子に徹底的にこき使われる。そんな矢先、健次の訃報が届く。葬儀が終り、悲しみにくれる操と恵子を待っていたのは父・国光だった。親子3人の平和な暮らしが始まったがそれも束の間、国光の借金のため恵子は金沢の芸者置屋に売られ国光と操の放浪の旅が始まる。やっとのことである女郎屋に落ち着くが、国光は糖尿病で3か月の命と診断される。そんな国光の看病を献身的に勤める芸妓トメに、操は恋心を抱く。豪快な国光は、死んだら金の入れ歯を役立てるよう言い残し死んでいく。埋葬から数カ月後、墓を掘り起こして金歯を入手した操はそれを金にかえ、母を訪ねるが、彼女は弟を冷たく追い返す。孤独感を噛みしめながらも、海や炭坑で働き次第に成長していく操。やがて彼は鹿児島に戻り、トメを訪ねて求愛するが、彼女も既に嫁ぎ先が決まっていた。操の傷心の日々を乗り越え、“ぼっけもん”になることを誓い、再び放浪の旅を続けるのだった。
戦前まで豪商として知られた名家の長男として生まれた少年が、父の事業の失敗、家族の離散や死別を経て”終戦記念日”までの生き方を描く。その放浪の姿を通し、昭和という激動のうねりに翻弄され、あがきながらも、今日を築いてきた日本人共有の体験を新たに浮き彫りにする、実話を基にした窪田操の原作(「ぼっけもん」=鹿児島地方の方言で“勇気ある者”の意)の映画化。詩情豊かな映像と音楽で真正面から”生きる”ことを問いかける。監督は「青い山脈'88」(88)の斎藤耕一。脚本は「母(1988)」の松山善三、撮影は「落陽」の山崎義弘が担当。主人公の操役には、地元・鹿児島県でのオーディションにより新人の秋月健太郎が選ばれた。
映画パンフレット 望郷(1993作品) 発行所:松竹株式会社事業部(A4版)1993年発行 監督: 斎藤耕一 出演:竹下景子
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スタッフ・監督:斎藤耕一
脚本: 松山善三
原作:窪田操
企画: 季田佳丸
プロデューサー: 斉藤八重子 、 窪田博 、 矢島進
撮影 :山崎義弘
美術: 間野重雄
音楽: 小六禮次郎
歌: 小田正利
録音: 北村峰晴
照明: 加藤松作
編集: 川島章正
助監督: 寄田勝也
スチール: 畠山壽人
キャスト:
窪田操:秋月健太郎
窪田国光: 田中健
窪田けさ: 竹下景子
窪田恵子: 細川直美
勝男: 小松方正
信吾: 長倉大介
好子 :可愛かずみ
トメ :喜多嶋舞
洋画『みんな愛してる』
■涙と笑いで描く父子物語
12歳のジャックと3歳の弟ディラン、そしてパパのジョンは東部シュラキスからカリフォルニア州オークランドへ引っ越してきたばかり。一家はママを自動車事故で失った悲しみから完全に立ち直ってはいなかったが、ジャックは新しい学校でカレンというかわいい女の子に恋心を寄せたり、近所の子供たちと遊んだりすることで明るさを取り戻しつつあった。しかし、ハロウィーンも終わり、ジャック一家に幸福が戻ってきたのも束の間、弟ディランが何者かに誘拐されるという大事件が起こり……。
妻を亡くした夫と幼い兄弟との生活をこまやかに、爽やかに綴った愛の物語。笑いと涙で全米を感動に包み、クライマックスは涙なしでは見られないとの絶賛の声が寄せられた珠玉の傑作。
ジャンル:ドラマ
製作国:アメリカ
製作年:1992年
初公開日:1993年11月20日
上映時間:99分
出演:
ロバート・J・スタインミラー・Jr
ミコ・ヒューズ
ジュリア・ルイス=ドレイファス
監督:マーシャル・ハースコヴィッツ
洋画『ライフ・with・マイキー』
■スリの少女をアイドルに!?
マイケル・J・フォックスが演じるマイキーは、かつてTVドラマ「ライフ・ライフ・with・マイキー」で主人公として人気を誇っていた元人気子役だったが、大人役への転換に失敗、31歳になった今では、子役専門のエージェントを経営。でもスターらしいスターもいない倒産寸前。そんな時、ショービジネスの街ニューヨークで彼の財布をすった12歳の少女アンジーの演技と才能を見初め、起死回生のため彼女をアイドルに育てる気になる。しかし、両親もなく、躾も受けていない彼女は、盗む、喧嘩はする、悪口はたたくなど強烈な少女だった。果たして彼女をアイドルに育てられるだろうかのサクセスストーリー。
1993年公開作品、主演は超ロングラン大人気米TVドラマ「ファミリータイズ」への出演で一躍、スター俳優の仲間入りを果たしたベビーフェイスな俳優のマイケル・J・フォックスがアイドルの育て方を魅力的に教える。フォックスはあまりも適役で、評論家たちはその裏にある自己嫌悪や、衝動的な無責任さ、口達者でチャーミングな彼の魅力を見過ごしている。すでにこの頃には発病しているパーキンソン病は世間に公表せず演技するマイケルになんだか心打たれます(自伝「ラッキーマン」を読めば経緯がわかる)。マイケルの子供に向けるちょっとした仕草や笑顔もけっこうツボ。脚本は、お世辞たらたらのショービジネス界に対する風刺とハートフルコメディーの間を行ったりきたりする中途半端さで、お世辞にも良い出来の映画とは言えませんが、彼を見ていると若い頃に戻った気がして懐かしくなります。
ジャンル:コメディ
製作国:アメリカ
製作年:1993年
初公開日:1993年11月20日
上映時間:91分
出演:
クリスティナ・ヴィダル
デヴィッド・クラムホルツ
監督: ジェームズ・ラパイン
邦画『学校』
■日本社会と学校教育見つめ、現在の有様に疑問投じる
今では、高校、大学へ進まない者のほうが少数派になってしまってる。近年日本の教育政策 は非常にうまくいった、ただし数字の上でみる限りは。けれども、本当にうまくいっているのか? 偏差値教育、いじめ、登校拒否、落ちこぼれ・・・・。90年代の教育現場で普通に聞かれる言葉である。これが”普通”でいいのだろうか? 学校が本来の学校でなくなっているのではないか?と、疑問を投げかけた映画こそ『男はつらいよ』で、世の中から落ちこぼれてしまった男、フーテンの寅を四半世紀にも渡って描きつづけてきた山田洋次の『学校』です。
『学校』の舞台は、東京の下町にある夜間中学。主人公は、校長から何度も転任を要請されてもガンとして居座っているクロさんこと黒井先生。そして彼の生徒たち、元非行少女みどり、肉体労働者の和夫、中国からの引き揚げ者の息子・チャン、登校拒否の少女・えり子、卒業式を前に体をこわして入院してしまったイノさんたちだ。
どうだろう、人数こそ少ないが、誰もが日本社会から”落ちこぼれ”てしまった人ばかりではないか。けれども、彼らは落ちこぼれたくて落ちこぼれたのではない。働かざるをえなかった者、家庭の不和で苦しんでいる者、家庭のために自分を犠牲にして働いてきた者など、誰もが何か事情があってハンディを背負わされただけ、普通の人よりちょっと弱い立場に立たされただけなんだ、と山田洋次監督は語りかける。
ハンディのある人を弾き出してしまう当時の教育現場の、あるいは当時の日本社会の”歪”について、立ち止まって考えてみようという映画ではあるのだけど、その後「偏差値教育」の反省か「ゆとり教育」になったらなったでまた弊害が……。ちょうどいい教育って何だろうね?
出演: 西田敏行、新屋英子、 裕木奈江、 竹下景子、 萩原聖人
監督: 山田洋次
洋画『ライジング・サン』
■謎とスリルに満ちた犯人捜し
ロサンゼルスにある日系企業の高層ビル落成パーティの夜、殺人事件が発生。被害者は日本人相手の高級コールガールだった。コナー刑事はウェップ刑事とともに捜査に乗り出すが、そこには日米ビジネス戦争を背景にした巨大な陰謀が……。
”日本バッシング(たたき)”の作品と製作途中から話題をまいた本作。魅力あふれるショーン・コネリーとウェズリー・スナイプスの二大俳優が競演し、ラストまで目が離せない犯人捜しの謎とスリルは、全米で大人気に。音楽を武満徹が担当しているのも話題に。
<キャスト&スタッフ>
ジョン・コナー…ショーン・コネリー(瑳川哲郎)
ウェップ・スミス…ウェズリー・スナイプス(山寺宏一)
トム・グレアム刑事…ハーヴェイ・カイテル(小川真司)
監督・脚本:フィリップ・カウフマン
製作総指揮:ショーン・コネリー
脚本:マイケル・クライトン/マイケル・バッキス
●字幕翻訳:戸田奈津子 ●吹替翻訳:宇津木道子
洋画『TINA (ティナ)』
■大ヒットの裏に秘められた”愛と挑戦の軌跡”
パワフルなハスキー・ヴォイスの熱唱で知られるロック歌手のティナ・ターナー。彼女の自伝『私、ティナ』を、テレビ界で活躍しているベテラン監督のブライアン・ギブソンが映画化。とにかく、凄まじい人生である。両親が別居し、母親は幼いティナを祖母に託し、姉だけを連れて都会に働きに出る。後に一緒に暮らせるようになったものの、母親に捨てられたという悲しみは、彼女の心に深い傷を残した。
そして、既にロカビリーの歌手として人気者だったアイク・ターナーとの運命的な出会い。アイクによってティナは”歌手ティナ”として世に出ることになる。
ところが、ティナにとっては運命の男だったアイクこそ、実はとんでもない疫病神だった。女癖が悪い、金遣いが荒い、薬に手を出し、暴力をふるう。憧れのスター、アイクと結婚して幸福の絶頂にあったティナだが、やがて夢は悪夢に変わっていく。
天性の歌唱力を発揮してスターへの階段を昇り始めたティナとは対照的に、歌作りに悩み、才能の限界に苦しむアイクは、嫉妬にかられて激しく暴力をふるった。ティナの運命の転機になったのは、仏教との出会いであった。心の平安を得て、”自分らしく生きよう”と決意した彼女は、アイクと別れ、新しい人生を賭けて復活コンサートに挑むのだった。
ティナを熱演するのはアンジェラ・ザ・バセット(歌はすべてティナ自身の吹き替え)、そしてアイク役にはローレンス・フィッシュバーン。ある意味では”天才歌手を妻に持った平凡なミュージシャンの悲劇”ともいえるこの作品を、ベテランらしい的確な彼の演技が引き締めている。
劇中、ロカビリー、ツイスト、ロックンロールと、50年代から90年代いたるヒット曲がふんだんに登場し、それもストーリーの進展に合わせて絶妙に選曲されて歌われるのも楽しく、エンターテインメントとしても一級の作品であるが、何よりも心を打つのが、既に40代になっていたティナが、新しい自分の音楽としてロックを選ぶラスト・シーン。「もう悲しいブルースは歌いたくない」と言って、若者の音楽である激しいロックに果敢にチャレンジするティナ。その前向きの姿勢には頭の下がる思いがする。
出演: アンジェラ・バセット、ローレンス・フィッシュバーン、ヴァネッサ・ベル・キャロウェイ
監督: ブライアン・ギブソン
洋画『ウェディング・バンケット』
NYで成功し、帰化したゲイの台湾人青年と、その恋人である白人青年、そして彼の妻である中国人女性との愛の姿を描いたヒューマン・ラブ・ストーリー。ウェイトンは台湾からニューヨークに渡り成功をおさめていた。彼には一緒に暮らしている同性の恋人サイモンがいるが、彼がゲイだと知らない両親がやって来ることになった。困り果てたウェイトンは市民権を欲しがっている中国人娘ウェイウェイと偽装結婚を行う事にするのだが……。 1993年のベルリン国際映画祭で金熊賞(グランプリ)受賞の秀作。”同性愛”、”偽装結婚”、”性別役割分担”等々、公開時代の最先端をいく鮮烈なテーマを、さわやかなキャスティングで描いていく。監督は新しい才能として認められ、注目を集めるアン・リーが脚本・製作も担当している。ゲイのカップルを扱った笑いの中にも深い感動を呼ぶヒューマン・ドラマ。
ジャンル:ドラマ
製作国:台湾/アメリカ
製作年:1993年
初公開日:1993年12月11日
上映時間:109分
配給:ヘラルド・エース=ヘラルド
出演:
ウィンストン・チャオ
ミッチェル・リヒテンシュタイン
メイ・チン
ロン・ション
グア・アーレイ
監督:アン・リー
アニメ『Coo/遠い海から来たクー』
洋画『スターリングラード』
■史上最大の激戦を再現!
スターリングラード。第二次世界大戦はおろか人類史上最大の激戦の地といわれる。あまりの悲惨さに、誰もが、その事実を直視しようとはしなかったとも。本作は終戦五十年という節目にドイツが、東西併合後、最初にして最大のプロジェクトを組み、エキストラ25,000人、製作費20,000,000ドルを投じて製作。今世紀最大の黙示録。
出演: トーマス・クレッチマン、ドミニク・ホルヴィッツ、ヨヘン・ニッケル、 セバスティアン・ルドルフ、ダーナ・ヴァヴロヴァ
監督: ヨゼフ・フィルスマイアー
洋画『ダウンタウン物語』
■子供しか登場しない心優しいギャング映画
思い出深い一作。’70年代は音楽映画の黄金期、ありとあらゆる音楽ものがあったけど、子供だけのミュージカル。しかも平均年齢は12歳!ってのは、あとにも先にもこれしかなかった。まだ幼児体型のジョディ・フォスターがギャングの情婦の歌姫を妖しく演じ、男の子たちは粋なスーツ姿でマシンガンを撃ちまくる。そして大人顔負けの歌と踊り。酒場で彼らが飲むお酒はミルク、マシンガンから飛び出すのはしっくいの弾なんていう心配りも嬉しかった。音楽は『ファントム・オブ・パラダイス』のポール・ウィリアムズ。ユーモアあふれるスコアは今、聴いても楽しい。でも何よりも素敵なのは、これがあのアラン・パーカー監督のデビュー作だったこと。
出演: ジョディ・フォスター、スコット・バイオ、フローリー・ダガー、ジョン・カッシーシ, マーティン・レフ
監督: アラン・パーカー