[おススメ度・★★★★ ]
『 風 』というバンドを知ってるだろうか?
70年代中盤に活躍していた二人組のデュオで、切ない愛の詩を美しいメロディーにのせて歌い、「22才の別れ」等の名曲をたくさん残した。『かぐや姫』解散後、伊勢正三が元『猫』の大久保一久と結成したフォーク・デュオである。
私の記憶の中の『風』との最初の出会いは、TV『昨日、別離』で流れていた「22才の別れ」の切ないメロディーと美しい雪国の映像と共にあります。
監督/岩井俊二。主演/中山美穂・豊川悦司・加賀まりこ・酒井美紀・柏原崇 公開/1995年4月の作品です。この映画を観ながら、当時、私は遠い日に聴いた『風』の歌を想い出していた「あいつ」という歌があった。山で死んだ友達のことを歌った歌で、『ぼく』はその友達の恋人だった女の子のことを想い出している。「こんな可愛い人を残して逝くなんて」と『ぼく』は歌う。けれども、『ぼく』は思う。何も残さずに一人で逝ってしまったのも、もしかしたら「あいつ」の優しさだったのかも~♪、と。
映画『 Love Letter 』の主人公=博子(中山美穂)は、雪山で死んだ恋人に手紙を書く。彼が昔住んでいたという北の街・小樽に向けて・・。
拝啓、藤井樹様 お元気ですか? 私は元気です 。
それは天国の恋人に宛てた手紙だった。が、来るはずのない返事が届く。ワープロ打ちのシンプルな手紙。差出人は『 藤井樹 』。
奇妙な文通が始まる。手紙が何往復かした頃、彼女は恋人に中学時代、同姓同名の女の子のクラスメイトがいたことを知る。つまり、彼女はもう一人の藤井樹に向けて手紙を書いていたのだった。本当の事が分かった後も二人の文通は続く。
なんでもいいです。 彼のことを教えて下さい。
小樽の樹(中山美穂二役)は、忘れていた中学時代の事を手紙に綴る。それは封印していた想いをひも解く事でもあった。同じ名前というだけで皆にからかわれ、いい想い出のなかったはずのあの頃。けれどもあれこれ想い出を書くうちに、彼女は気付く。もしかしたら彼は私を好きだったのでは・・・。そして私も。
切ない切ない恋の、いや恋以前の物語が巡っていく。初恋の予感。初恋の想い出。もう決して帰らない懐かしい日々。観ていて胸が痛く成る。小樽の樹が博子に向けて書くひとつひとつの物語は、過去の自分に向けたラブレターでもある。そして、それを愛おしむ博子と、彼女を大きな愛で見守る恋人・樹の親友で山登り仲間= 秋葉茂(豊川悦司)。
「 君と最初に会ったのは僕だったのに 」。
そんな彼の言葉が心に染みる。同じフレーズが、『風』の「君と歩いた青春」という曲にもあった。
ずっと君の事が好きだったけど、君は親友の恋人だった。でも君と出会ったのは僕が最初だったね~♪。
豊川悦司の横顔にあの優しく切ない歌を聴いたような気がした。
” こ の 切 な さ は
ど こ か ら や っ て く る の だ ろ う ? ”
キャスト
- 渡辺博子:中山美穂
- 藤井樹:中山美穂(二役)
- 秋葉茂:豊川悦司
- 藤井晶子:范文雀
- 藤井剛吉:篠原勝之
- 藤井精一:鈴木慶一
- 藤井慎吉:田口トモロヲ
- 樹(少女時代):酒井美紀
- 樹(少年時代):柏原崇
- 藤井安代:加賀まりこ
- 阿部粕:光石研
- 及川早苗:鈴木蘭々
- 梶親父:塩見三省
- 浜口先生:中村久美
- 利満:うめだひろかず
- 春美:長田江身子
- 鈴美:小栗かおり
- 治夫:神戸浩
- 運転手:酒井敏也
- 担任:山口晃史
- 阿部粕の妻:山口詩史
- 学年主任:山崎一
- 男:徳井優
- 看護婦:武藤寿美
- 図書委員 遥香:藤村ちか
- 図書委員 恵子:市川さき
- 図書委員 真理:林美恵
- 図書委員 優子:高原遊
- 図書委員 彩:園田亜季子
- 図書委員 智加:木村絢