@ Cinema Port

こころにひびく映画紹介

洋画『花嫁のパパ』

■父、母、娘。結婚式を待つそれぞれの心中は?

 

スポーツ靴メーカーの経営者ジョージは、可愛い娘がイタリア留学から帰ってきていきなり結婚宣言して気が動転。相手は非の打ち所のない資産家の好青年。妻は大喜び、周囲も大乗り気でジョージも露骨な反対で娘に嫌われたくないのでしぶしぶ了承。結婚する前になんとか娘に思い止まらせようというジョージの思惑とは裏腹に、結婚の準備は着々と進み、さらには費用も膨らむ一方で……。

 

物語は娘の結婚式を終えた父親の顔からはじまる。疲れきって放心した顔、泣きたいけど涙も出ない、そしてはじまる結婚までの狂騒曲。スティーブ・マーティン扮するお父さん。「かわいい娘をお前なんかにやるもんか!!」とあの手この手で邪魔をする彼の姿は、世界中の娘を持つ父親の気持ちでもあろう。それに比べると母親というのは至って無邪気なものらしい。ダイアン・キートン扮するお母さんも娘の結婚に協力的で自分のことのようにその日を持っている。とはいうもの娘を思う気持ちは父も母も変わりない。たぶん父親のほうが不器用で、寂しがり屋なのだ。スティーブン・パパは娘にとっては困ったちゃんだ。婚約者の前でバカなことをする。彼の両親にも呆れられる。当然。娘には嫌われる。でもそれもこれも愛情の裏返し。だから結局は自分が折れて、娘を心から祝福する。父親の屈折した愛情表現が好きだ。そんなお父さんってやっぱり素敵だと思う。

 

実はこの映画はリメイクで、オリジナルは1950年制作のMGM映画『花嫁の父』。こちらのほうのお父さんはスペンサー・トレーシー、娘役はエリザベス・テイラーでした。『花嫁のパパ』の監督は『プライベート・ベンジャミン』『赤ちゃんはトップ・レディがお好き』のチャールズ・シャイヤー(当時、彼も4歳の女の子の父)。父と二人でぜひ観てほしい映画だけど、観たあとはお互い沈黙しちゃうかもね。でもきっとお父さんのことがもっと好きになると思うよ。そして二人にとって忘れられない一本になるはず。

 

 

花嫁のパパ [DVD]

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ジャンル:コメディ

製作国:アメリカ

製作年:1991年

初公開日:1992年8月8日

上映時間:105分

配給:WB

出演:スティーヴ・マーティン ダイアン・キートン キンバリー・ウィリアムズ キーラン・カルキン ジョージ・ニューバーン

監督:チャールズ・シャイア